2012年12月10日

パリ条約に基づく優先権主張の取り下げ

パリ条約に基づく優先権主張を伴う国際出願について、面白い判決を見つけました。
東京地裁の判決文
知財高裁の判決文
詳細は判決文を参照していただきたいのですが、出願人は、パリ条約による優先権主張を取り下げたので、国内書面提出期間の起算日はもともとの優先日ではなく、繰り下がった国際出願日が基準となり、翻訳文提出は認められるべきであると主張しました。

これに対し、特許庁は、翻訳文提出特例期間の満了日が経過した時点で、本件国際出願の日にされた特許出願とみなされた本件出願は取り下げられたものとみなされており、その後に本件出願に関する手続きをすることはできないと主張しました。

裁判所は特許庁を支持しましたが、仮に本件出願が取り下げられたものとみなされる前に優先権主張取り下げ書が提出された場合に、これがどのような効果を生じるかについては判断していません。

最初に読んだとき、期限に余裕をもって手続きをしない出願人が悪いとしか言えないものの、なかなか面白い主張だと思いました。

で、特許庁の主張は以下のように審査便覧に明記されました。

方式審査便覧

今回の判決ではこの特許庁の解釈及び取り扱いが妥当か否かを判断していませんが、特許庁のこのような対応は、少なくとも実際に疑義の生じている事態に対して立場を明確にするということで、同様の争いの発生に対して一定の予測可能性を与え、訴訟からのフィードバックを制度の整備に生かせていると思います。

ただ、今回の件に関して個人的な感想としては、もう少し(といっても数年ですが)出願タイミングが遅ければ優先権主張の取り下げなどというトリッキーな主張をしなくても救済されていたかもしれない内容であり(平成23年法律第63号附則2条25項)、出願人も残念だったろうと思いました。

「出願人・特許権者の救済手続の見直し」を勉強するにあたり、参考になる判例です。
posted by garubon at 13:25 | Comment(0) | 特許法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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